ベベルギヤとは、円錐台の形状をしたギヤ。Bevelは「傾斜」という意味です。傘のような形状から、かさ歯車とも呼ばれます。ベベルギヤのほとんどは、駆動歯車と被動歯車の軸が交差する「交差軸歯車」。ハイポイドギヤは、軸が交差しない「食い違い軸歯車」です。
かさ歯車の大きな特徴は、回転運動の方向を転換できるという点です。FR車のディファレンシャルギヤのように、トランスミッションから送られてきた動力を90度曲げて駆動輪に送る時などに使われます。
かさ歯車の長所は、歯筋をはじめとした特徴によって異なります。
すぐばかさ歯車やゼロールベベルギヤは、軸に対して歯筋がねじれていないため、スラスト荷重が小さいという長所があります。まがりばかさ歯車、ゼロールベベルギヤは、かみ合い率が高いため騒音や振動が少なく、強度が高いことが長所です。
軸がオフセットしているハイポイドギヤでは、騒音や振動がさらに抑えられます。
かさ歯車の短所もまた、歯筋のタイプによって異なります。
すぐばかさ歯車は、噛み合い率の低さから高速域での騒音と振動が大きくなります。歯筋が軸に対してねじれているまがりばかさ歯車は、スラスト荷重が大きくなることが短所です。
歯当たり面が滑るハイポイドギヤでは、エネルギーロスと摩擦の大きさが短所となります。
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タイプごとの長所・短所を、それぞれの解説ページで解説しています。下のリンクからご覧ください。
すぐばかさ歯車は、円錐台のベースに歯筋がまっすぐな歯が切られたベベルギヤです。加工が容易で精度を高めやすいものの、高速域では騒音や振動が大きくなります。
すぐばかさ歯車(ストレートベベルギヤ)の特徴と長所・短所について詳細を見る
まがりばかさ歯車は、螺旋状の歯筋を持つかさ歯車です。すぐばかさ歯車よりかみ合い率が高いことから、静音性や強度に優れます。軸に対して歯筋がねじれているため、スラスト荷重が大きくなります。
曲がり歯かさ歯車は(スパイラルベベルギヤ)の特徴と長所・短所について詳細を見る
ゼロールベベルギヤは、ねじれ角がゼロ(もしくは10度未満)でカーブした歯筋を持つかさ歯車です。すぐばかさ歯車よりかみ合い率が高く、静音性や強度に優れていますが、歯筋がねじれていないためスラスト荷重はすぐばかさ歯車と同程度です。
ハイポイドギヤの形状はまがりばかさ歯車と同様ですが、まがりばかさ歯車が交差軸歯車であるのに対し、ハイポイドギヤは食い違い軸歯車であるという違いがあります。ハイポイドギヤはまがりばかさ歯車より噛み合いがスムーズで、静音性に優れています。ただし、軸のオフセット率が高い分だけ歯当たり面の滑りが大きくなるため、エネルギーロスが大きくなったり、摩擦に対処する必要があったりといったデメリットがあります。
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