インターナルギヤ(Internal Gear)とも呼ばれる内歯車は、円筒の内側に歯が切られている歯車。小さな歯車(ピニオン)と噛み合わせて使われます。内歯車には、歯筋が軸と平行になった「すぐば(直歯)」と、歯筋が斜めになった「はすば(斜歯)」があります。
内歯車は、平歯車やはすば歯車と同様の平行軸歯車です。ただし、普通の歯車では駆動歯車と被動歯車が逆方向に回転しますが、内歯車とピニオンは同じ方向に回転します。はすば内歯車では、ねじれの角度と方向が同じピニオンを組み合わせます。
内歯車(インターナルギヤ)は、主に減速比が大きい遊星歯車機構や歯車形軸継手などに使用されます。
内歯車の長所は、歯車装置をコンパクトに作ることができる省スペース性です。
内歯車を使った代表的な装置に、「遊星歯車機構」があります。遊星歯車機構は、内歯車の中心にサンギヤ(Sun Gear:太陽歯車)を、その周囲に自転と公転を行うプラネタリーギヤ(Planetary Gear:遊星ギヤ)を複数配置したもので、減速や増速に使用されます。遊星歯車機構は、入力軸と出力軸を同一軸上に配置可能で、複数の機構で負荷を分担するため、装置をコンパクトにできるといった利点があります。
内歯車は加工が難しく、ピニオンとの干渉が起こるリスクがあります。
内歯車の加工には外側から加工する機器が使えません。そのため、ピニオンカッターを取り付けたギヤシェーパーなどを使用しますが、精度の高い加工が難しく、コストも高くなる傾向があります(ただし現在では、短いタクトタイムで精度の高い加工が可能なギアスカイビング加工機の導入が進んでいます)。
また、内歯車とピニオンを組み合わせる際には、干渉に注意しなくてはいけません。内歯車とピニオンの歯が不必要に接触して回転できなくなる現象で、インボリュート干渉(歯元干渉)、トロコイド干渉、トリミング(逃げ干渉)の3種類があります。干渉を防止するには、噛み合わせる歯数を適正に保つ必要があります。
自動車のATトランスミッションほか減速機、工作機械等の減速機、ギヤカップリング
引用元:菊地歯車公式サイト
(https://www.kikuchigear.co.jp/products/)
菊地歯車の例
自動車向けの各種インターナルギヤ。タクトタイムを従来より80パーセント短縮できるギアスカイビングによる加工も手掛けています。自動車は騒音規制が厳しいため、音振性能に優れたヘリカルインターナルギヤが多用されます。
引用元:青島歯車製作所公式サイト
(http://www.aoshima-gear.co.jp/productlist/internal_gear)
青島歯車製作所の例
ギヤシェーパーで加工したインターナルギヤ。減速機(遊星歯車装置)や歯車形軸継手(ギヤカップリング)に使用されます。
引用元:坂西精機公式サイト
(https://www.sakanishi.co.jp/products/products_1.html)
坂西精機の例
ギヤシェーパー及びブローチ加工で製造されたヘリカルインターナルギヤ。
精度やサイズなど5つの特徴的なポイントにマッチするギヤメーカーを紹介しています。
【選定の条件】Googleにて「ギヤ メーカー」「歯車 メーカー」で検索し、100位までに公式サイトが表示されたメーカーの中から
①ギヤ加工の対応範囲が広い(一部の種類に特化していない)、②国際的な品質マネジメント規格ISO9001を取得している、または、「日本歯車工業会」所属のメーカーから、各条件に適したメーカーから紹介しています。
(Google検索は2022年7月1日時点、①②は2022年7月調査時点)
※以下の根拠をもとに選出しています。
【高精度】…機械加工技能士「特級」保有者の数が最多、高性能な設備(ハイエンド/上位機種)の導入 【既存歯車の再現】…複製技術に強み、複製がプラン化されている
【標準歯車】…標準歯車の取扱い製品数が最多
【特大サイズ】…公表されている加工設備の対応サイズの中で最大 【極小サイズ】…商品化されている製品の中でモジュールが最小