マスターギヤは、歯車の誤差測定に用いられるギヤです。具体的にどのような特徴を備えるのでしょうか。ここでは、マスターギヤの概要と長所・短所、マスターギヤの用途・製品例などを解説しています。
マスターギヤは、両歯面噛み合い試験機や片歯面噛み合い試験機に設置する高精度基準歯車です。噛み合い試験機は、検査対象になるギヤと噛み合わせるギヤの諸元にあわせて作られたマスターギヤ(=相手ギヤと同じ諸元)を使って、総合的な誤差を測定する試験機といえるでしょう。
具体的な検査方法は次の通りです。
台の動き、波形の乱れが小さいほど精度の高い製品ギヤ、つまり噛み合いがよいといえます。精度の低いギヤは、台とこれに連動する波形が大きく動きます。以上からわかる通り、マスターギヤは量産歯車や小型歯車の誤差を測定する際に用いられるギヤです。歯車の精度を検査するためのギヤ、歯車の品質を保証するためのギヤと言い換えてもよいでしょう。
マスターギヤの長所は、噛み合い試験機に設置することで製品ギヤの誤差を測定できることです。具体的には、ピッチ噛み合い誤差・全噛み合い誤差など、総合的な誤差を測定できます。製品の品質管理において重要な役割を果たすギヤと考えられます。
マスターギヤの短所は、製品ギヤの誤差を測定するために非常に高い精度を求められることです。誰でも簡単に製作できるわけではありません。温度や材質などを加味して加工しなければならないこともあります。また、マスターギヤの検査も難しくなります。ミクロン単位で検査するため、微細な埃であっても結果に影響します。恒温検査室など、一定の設備を求められるケースが多いでしょう。当然ながら、マスターギヤの管理も慎重に行わなければなりません。
島村製作所の例
精密歯車の加工などを手掛ける島村製作所のマスターギヤです。詳細について公式サイトに記載されていないため、直接お問い合わせください。
小笠原プレシジョンラボラトリーの例
小型精密歯車に関する切削工具、測定機器類の開発・製造などを手掛ける小笠原プレシジョンラボラトリーのマスターギヤです。CNC歯車研削盤と高精度歯車加工のノウハウを活用している点が特徴といえるでしょう。モジュール/DPは0.15~1.25mm/20~10DP、標準寸法はφ50mm×穴径10mm×幅8mm、φ50mm×穴径12.7mm×幅12.7mm、材質はSKS・SKD・HSS、精度クラスはJIS B1751 M00級、M0級、1ピッチ噛み合い誤差0.0025mmMAX.、全噛み合い誤差0.0050mmMAX.となっています。
精度やサイズなど5つの特徴的なポイントにマッチするギヤメーカーを紹介しています。
【選定の条件】Googleにて「ギヤ メーカー」「歯車 メーカー」で検索し、100位までに公式サイトが表示されたメーカーの中から
①ギヤ加工の対応範囲が広い(一部の種類に特化していない)、②国際的な品質マネジメント規格ISO9001を取得している、または、「日本歯車工業会」所属のメーカーから、各条件に適したメーカーから紹介しています。
(Google検索は2022年7月1日時点、①②は2022年7月調査時点)
※以下の根拠をもとに選出しています。
【高精度】…機械加工技能士「特級」保有者の数が最多、高性能な設備(ハイエンド/上位機種)の導入 【既存歯車の再現】…複製技術に強み、複製がプラン化されている
【標準歯車】…標準歯車の取扱い製品数が最多
【特大サイズ】…公表されている加工設備の対応サイズの中で最大 【極小サイズ】…商品化されている製品の中でモジュールが最小