マイクロギヤは、超小型の歯車のことです。精密機械や小さい製品の製造に多く用いられています。本記事ではマイクロギヤの概要や、長所・短所、製造例などの情報をご紹介します。
マイクロギヤとは、基準円直径が1mm以下の歯車のことです。一般的な歯車と比較して重量が軽く、省スペースである上に高速回転や高いトルクにも対応できます。近年、医療業界やIT業界をはじめ、さまざまな分野で産業機械の小型化が進んでいます。それに伴いギアの小型化が求められるようになり、多くの企業でマイクロギヤの研究を進めています。
マイクロギヤの製造には、微小なモジュールを歯切り加工できる「ホブカッタ」が使用されることが多いです。ホブカッタは外歯の円筒歯車を切削加工する際に多く用いられます。マイクロギヤの製造においてはマイクロギヤに適した小さいホブカッタを製造した上で歯切りを行います。
歯車を小型化するだけでなく、小さくても高トルクに対応できる、高効率を実現するなど、性能面を満たしていることが重要です。マイクロギヤの製造には切削加工や放電加工などさまざまな手法があり、各企業が自社の運用に合った方法での製造に取り組んでいます。
各製造者がもつ技術を駆使して精度の高いマイクロギヤを製造するため、精密機械などに活用できます。細かい動作や精密な制御が可能なので、精密機械などに使用できる点も長所です。また、とても小さいため小型機器など、限られたスペースでも十分設置できます。小さなサイズでありながら高いトルクを伝達できるため、小さな機械でもしっかり動力を伝えられる点も長所です。
小さくても十分な機能を果たすマイクロギヤを製造するには、高度な技術と緻密な作業を必要とします。そのため、製造コストが一般的な歯車よりも高くなってしまうことが多いようです。また、量産が難しいものも少なくありません。こうした短所を払拭すべく、各製造者が研究を重ね、マイクロギアの量産に向けて尽力しています。
引用元:近畿精工株式会社公式HP
(https://ja.nc-net.or.jp/company/47553/product/detail/72543/)
近畿精工の例
0.5mmのシャープペンシルの芯よりも小さいマイクロギヤです。金属製のため耐久性・耐熱性に優れている上に、とても細かい歯型を実現しています。このマイクロギヤを製造するために、高機能なワイヤ放電加工機と独自の精密治具と技術を駆使しました。超小型モーターや腹腔鏡手術器具、内視鏡など、医療機器業界で用いられることが期待されます。
引用元:株式会社小笠原プレシジョンラボラトリー香水機HP
(http://ogswr-pl.co.jp/002_11.html)
小笠原プレシジョンラボラトリーの例
0.1mm以下の歯切り工具を製作した上で機械加工によって作られたマイクロギヤです。マイクロマシンの分野全般で実用可能で、情報や医療業界など、産業機器の小型化に対応します。
精度やサイズなど5つの特徴的なポイントにマッチするギヤメーカーを紹介しています。
【選定の条件】Googleにて「ギヤ メーカー」「歯車 メーカー」で検索し、100位までに公式サイトが表示されたメーカーの中から
①ギヤ加工の対応範囲が広い(一部の種類に特化していない)、②国際的な品質マネジメント規格ISO9001を取得している、または、「日本歯車工業会」所属のメーカーから、各条件に適したメーカーから紹介しています。
(Google検索は2022年7月1日時点、①②は2022年7月調査時点)
※以下の根拠をもとに選出しています。
【高精度】…機械加工技能士「特級」保有者の数が最多、高性能な設備(ハイエンド/上位機種)の導入 【既存歯車の再現】…複製技術に強み、複製がプラン化されている
【標準歯車】…標準歯車の取扱い製品数が最多
【特大サイズ】…公表されている加工設備の対応サイズの中で最大 【極小サイズ】…商品化されている製品の中でモジュールが最小