シザースギヤは、異音の低減や騒音抑制のために作られた部品で、自動車産業において用いられることが多い歯車です。ここでは、シザースギヤの概要と長所・短所と製品事例を紹介しています。
シザースギヤは、騒音抑制とスムーズな動力伝達を目的として使用される部品です。
大手自動車メーカーが騒音対策のために採用したことでも知られています。歯車を2枚に分け、間をスプリングで繋いで挟み込む構造のため、「シザースギヤ」と名付けられました。
通常、ギヤ部品はお互いがきれいにかみ合い、力を伝えることで力を生み出しています。ギヤの間にはわずかなすき間(バックラッシュ)ができていますが、すき間の存在によって必要以上の騒音(歯打ち音)が発生する問題がありました。
シザースギヤはスプリングの張力によってバックラッシュを解消する仕組みのため、ギヤの歯に力をかけてがたつきを押さえ、歯打ち音を減らして振動や騒音を低減させています。
自動車のエンジンでは、「バックラッシュ音」と呼ばれる歯車特有の騒音を抑制します。これは歯車同士が接している歯面のすき間によるもので、スプリングの張力でがたつきを抑えれば、がたがたという音が低減します。
歯面のすき間は振動発生の原因にもなります。潤滑性をもたせたシザースギヤを使用することで、音の低減と同時に回転がスムーズになり、振動を減らしてエンジンなどの寿命が長持ちします。
バックラッシュは歯車の精度によるもので、すき間が空きすぎていると回転制御がうまく行えません。シザースギヤは歯車の精度が低い場合でもバックラッシュを小さくできるため、回転制御の向上に貢献します。
バックラッシュをゼロにすることで、滑りが大きな面においては油膜が切れた際に歯面が摩耗するおそれがあります。発熱による変形のおそれや、回転時の動作性の低下もリスクのひとつです。
シザースギヤを使用しても、ギヤ同士がきれいにかみ合っていなければ異音の発生原因になります。歯車を取り付ける段階で正確性が求められる点も短所といえるでしょう。
シザースギヤは他の歯車製品に比べて使用例が少ないため、バックラッシュ低減のための部品を探さなければならない場合があります。
引用元:ミヤモトエンジニアリング公式サイト
(http://www.gear-mec.co.jp/product/)
ミヤモトエンジニアリングの例
1969年に創業したミヤモトエンジニアリングは、産業用ロボットや減速機用ギヤを提供している会社です。
加工図の製図・材料調達・加工・焼入れ・研磨・歯研・検査を行い、最終出荷となります。
ギヤ製品はシザーズギヤに加えてスパイラルベベルギア・テーパーギヤ・ヘリカルギアなど豊富な種類を揃え、ISO9001と同等またはそれ以上の保証システムである「ミヤモト品質保証システム」に基づいて製造し、品質の維持に努めています。
精度やサイズなど5つの特徴的なポイントにマッチするギヤメーカーを紹介しています。
【選定の条件】Googleにて「ギヤ メーカー」「歯車 メーカー」で検索し、100位までに公式サイトが表示されたメーカーの中から
①ギヤ加工の対応範囲が広い(一部の種類に特化していない)、②国際的な品質マネジメント規格ISO9001を取得している、または、「日本歯車工業会」所属のメーカーから、各条件に適したメーカーから紹介しています。
(Google検索は2022年7月1日時点、①②は2022年7月調査時点)
※以下の根拠をもとに選出しています。
【高精度】…機械加工技能士「特級」保有者の数が最多、高性能な設備(ハイエンド/上位機種)の導入 【既存歯車の再現】…複製技術に強み、複製がプラン化されている
【標準歯車】…標準歯車の取扱い製品数が最多
【特大サイズ】…公表されている加工設備の対応サイズの中で最大 【極小サイズ】…商品化されている製品の中でモジュールが最小