メーカー選定のポイントとして、加工設備などと併せてチェックしておきたいのが、生産能力・受注能力の高さです。
歯車の加工を依頼する際、「スパーギヤは○日」「ヘリカルギヤなら○日」などと納期がわかっていると、発注しやすいと思われるかもしれません。ところが実際には、ギヤの種別ごとに納期が明記されている例はほとんどありません。なぜでしょうか?
注文されるギヤの加工方法は、それぞれ異なっています。熱処理が必要なもの、超高精度に仕上げる必要があるものでは工程が長くなりますし、ロット数にも左右されます。そのため、納期を一律に伝えることはできないのです。
そこで見ておきたいのが、メーカーの生産能力・受注能力の高さです。加工機の台数や、ラインの合理化・効率化の度合いをチェックしたり、公開されている実際の受注数を確認することで、メーカーの生産能力・受注能力を推測することができるでしょう。
このページでは、ギヤメーカーの生産能力・受注能力について、いくつかの事例をご紹介します。
日伸歯車工業では、最大歯先径1000mmの歯車研削能力を持つライスハウアー社製の歯車研削盤「RZ1000」をはじめとして、60台もの歯車加工設備を保有。迅速な加工が可能である創成研削、精密な加工に適した成形研削のいずれにおいても、高い生産能力を持っています。
同社には勤続40年以上のベテランスタッフも在籍しており、月間の受注数は300~400件。加工図制作の段階から納品まで社内で対応するため、プロセス間のロスが少ないことも強みとなっています。(2022年8月調査時点 公式サイトより)
平歯車、はすば歯車、すぐば傘歯車、まがりば傘歯車、ラック、ウォーム&ウォームホイル、カービックカップリングの加工を幅広く手掛ける大和歯車製作は、190機種210台(加工機182台、検査機28台)を駆使して短納期対応を可能にしています。
月間100社、100点以上の新規案件を受注。リピートを含めた受注数は月間700~800件、月産およそ1万点となっています。納期の平均は、1.5カ月とのことです。(2022年8月調査時点 公式サイトより)
金子歯車工業は、産業機械用歯車から航空機、産業用ロボット向けの精密歯車の少量多品種製造に対応するメーカーです。
独自の「エンドミル歯切プログラム」によって、専用工具を調達することなく試作・小ロット生産を行うダイレクト・ギヤミーリングのほか、破損したギヤ現物から図面を起こして再生するギヤリプロダクションに対応。さらに、既存の治具と刃物を使用し、低コスト・短納期でスパイラルベベルギヤの製造ができることを、強みとしています。
また、航空宇宙分野で培われた測定技術を用いた精密測定サービスを展開しており、製品原器の校正などに活用されています。
自動車や二輪車向けのギヤを多く手掛ける三宅精機は、試作と量産の両方に対応する歯車メーカーです。特に試作において、専用工具を使用せずに短納期で試作歯車を製作することを得意としており、およそ3週間での納品が可能です。
日本(愛知県)とタイに生産拠点を展開。本社では、NC旋盤(自動化ライン)26ライン、ホブ盤(自動化ライン)29ラインに加え、90台の加工機、55台の検査機器を保有。タイ工場では加工機68台、検査機器7台を保有しています。
【欲しいギヤ別】
おすすめのギヤ(歯車)メーカー5選を見てみる
保有設備を充実させているメーカーは、生産能力・受注能力が高いことを見てきました。さらに持っておきたい視点としては、ラインの効率化・自動化を積極的に推進しているかどうか、が挙げられます。
ラインの自動化を進めるということは、高い技術を持つスタッフを本当に必要なポジションに配置できるということ。貴重な人材を有効活用することで、人件費の無駄を抑えて高効率な製造が行えます。
ラインの自動化によって、納期短縮とコスト低減を実現したケースを、以下でご紹介します。
菊地歯車では、新工法・新技術を積極的に開発。自社の新工法、新技術を使ってギヤの歯切り工程の自動化を図ったり、製造工程の効率化を図ったりすることで、納期の短縮とコストの低減を実現しています。その具体例を、いくつかご紹介しましょう。(菊地歯車株式会社パンフレットより)
作業者1名、加工機5台で行っていたオイルポンプギヤの歯切り加工とシェービング加工を自動化することで、生産性を2.6倍に向上、納期を32パーセント短縮し、コストは33パーセント低減しました。
加工機へのセッティングや次工程への搬送をロボットアームが担うことで全作業を自動化、24時間稼働が可能に。しかも、構成機材は償却が完了した設備です。多額の設備投資なしで生産性を2.6倍にアップさせたことは、特筆に値します。
これまでウェットカットホブ盤を使用していたe-4WD駆動ギヤの加工を、ドライカット方式に切り替えました。ドライカットホブ盤はウェットカットより回転速度・加工スードのアップが可能なことから、歯切り時間を58パーセント短縮。納期は10パーセント、コストは20パーセントの効率化となりました。
パワーショベル旋回用の減速機は、破損すると人命に関わる重要保安部品です。この減速機を、歯車の製造からアッセンブリまで一貫して請け負うことで、納期とコストをそれぞれ15パーセントカットしました。
アッセンブリ作業には歯車の加工とは異なる技術力が求められる反面、歯車メーカーが一貫して行うことでパーツのトレーサビリティが確保されるというメリットがあります。同社の熱処理の管理能力や、一貫生産力が評価されたからこそのオーダーといえるでしょう。
精度やサイズなど5つの特徴的なポイントにマッチするギヤメーカーを紹介しています。
【選定の条件】Googleにて「ギヤ メーカー」「歯車 メーカー」で検索し、100位までに公式サイトが表示されたメーカーの中から
①ギヤ加工の対応範囲が広い(一部の種類に特化していない)、②国際的な品質マネジメント規格ISO9001を取得している、または、「日本歯車工業会」所属のメーカーから、各条件に適したメーカーから紹介しています。
(Google検索は2022年7月1日時点、①②は2022年7月調査時点)
※以下の根拠をもとに選出しています。
【高精度】…機械加工技能士「特級」保有者の数が最多、高性能な設備(ハイエンド/上位機種)の導入 【既存歯車の再現】…複製技術に強み、複製がプラン化されている
【標準歯車】…標準歯車の取扱い製品数が最多
【特大サイズ】…公表されている加工設備の対応サイズの中で最大 【極小サイズ】…商品化されている製品の中でモジュールが最小