PEEKギヤ・PEKギヤは耐摩擦性に優れており、さらに音が静かで省燃費であるため、これまで使用されてきた金属製ギヤとの転換が期待されているギヤです。さらに軽量・コンパクトであるため、使うシーンを選びません。本記事では摺動特性の特長や長所・短所に加えて、実際の製品事例もご紹介します。
PEEKギヤ・PEKギヤとは
PEEKギヤ・PEKギヤとは、剛性・耐熱性があるギアの一種で、さらに軽量であることから、さまざまな分野での実用化が目指されているギヤです。現在ではすでにメルセデス・ベンツに採用されています。
また摺動特性に優れていることから、金属製のギヤの代わりとして使える部品として注目を集める存在です。金属製ギヤに比べて音が静かで、省燃費であることから、より実用面で優れているギアだと言えるでしょう。
PEEKギヤ・PEKギヤの長所と短所
長所
- よりコンパクトな歯車で金属製と同等のトルク伝達が行える
- 音が静かである
- 軽量・コンパクトである
- 摩耗耐性に優れていて傷がつきにくい
- 耐熱性が高い
- 伝達効率が高い
- 金属材料の代替となれる可能性がある
PEEKギヤ・PEKギヤの長所についてまとめてみると、今まで使われてきた金属材料の代替として使えるようになる可能性があることがあげられます。しかも金属製と同等のトルク伝達が行えるうえに、金属製部品よりも軽量・コンパクトかつ摩耗耐性に優れていること、静音性が高いことなど、優れた特長が見られます。
伝達効率が高く耐熱性にも優れているため、今後の金属製部品からの転換が期待されています。
短所
- これからの開発が必要であること
- 材料が希少で価格が高いこと
短所としては、まだ新しい技術であるためこれから開発が必要となることがあげられます。実際に金属製部品と置き換えられるようになるには、長い年月がかかるかもしれません。
また材料が希少であり価格が高いため、完成したPEEKギヤ・PEKギヤも従来の金属製ギヤと比較して、価格が高くなることが予想されます。使い勝手の良さと価格を天秤にかけ、どちらを選ぶべきかの選択を迫られるでしょう。
PEEKギヤ・PEKギヤの主な用途（対応している分野）
PEEKギヤ・PEKギヤが対応している分野は、自動車部品製造メーカーや工業用部品製造、建設機械、半導体製造などです。しかし今後の開発状況によっては、ロボット分野や無人航空機製造、航空宇宙分野などでも活躍するかもしれません。
PEEKギヤ・PEKギヤの製品例
引用元：イプロスものづくり
（https://www.ipros.jp/product/detail/2000715345）
飯田製作所の例
熱可塑性樹脂を使用して製造されたPEEKギヤ・PEKギヤです。強度や耐久性はもちろん、耐摩耗性にも優れているため、長く使用できるギヤでしょう。大型の機械や小型のロボットにまで導入でき、幅広い分野で活用できる製品です。
引用元：エボニック公式サイト
（https://www.pp-evonik.com/news_release/press/detail/86）
エボニックの例
ギヤメーカーであるエボニックでは、熱可塑性樹脂を用いて130℃のエンジンオイル浸漬の状況でも使用できるPEEKギヤ・PEKギヤを製造しました。金属製のギヤよりもノイズが少なくなっており、過酷な環境で使用できるため、エンジン内部で使用できるでしょう。