ギヤメーカーの中には「波動歯車」と呼ばれる歯車を製造しているところがあります。波動歯車とは、減速機構に用いられるものです。本記事では波動歯車の概要やメリット、デメリットについて解説し、さらに実際の製品事例についてもご紹介します。
「波動歯車」とは、ギヤメーカーである株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズによって商標登録されている歯車であり、「ハーモニックドライブ®」「波動歯車装置」とも呼ばれています。
金属のたわみや弾性力学を応用して開発された歯車で、3つの部品から構成されます。構成部品はウェーブ・ジェネレータ、フレクスプライン、サーキュラ・スプラインです。減速機の装置のひとつとして広く知られており、大きな減速比が得られることが特徴です。
波動歯車の構造は3つの部品だけで、非常にシンプルです。そのためコンパクトで組み込みも簡単であることが長所と言えます。また減速比が高いこと、バックラッシが小さいこと、精度が高いことも優れた特徴です。また動力損失が少ないため動力源を的確に活用して、静音で振動が少ないことから、現場環境をより良くしたり、作業員の健康状態を向上させたりしたいときに適しています。
以上のようにさまざまな長所があることから、基本的にギヤとしての性能が高いと言えるでしょう。
波動歯車には多くの長所がありますが、産業用ロボットに用いた場合には、アームの設置によって角度伝達精度が振動となってしまうことがあります。角度の差が現れるため、誤差が生じるかもしれません。また同時かみ合い数を増やせない問題もあります。
波動歯車が主に活用されている分野は、制御機構分野、自動化設備分野、半導体装置分野、工作機器などです。また産業用ロボットの多関節型ロボットでも利用されている歯車です。
引用元:ハーモニック・ドライブ・システムズ公式HP
(https://www.hds.co.jp/products/hd_theory/)
ハーモニック・ドライブ・システムズの例
波動歯車を開発したギヤメーカーであるハーモニック・ドライブ・システムズでは、金属の弾性力学の応用によって独自のスタイルの波動歯車を製造しています。
引用元:MONOist
(https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2402/09/news020.html)
テクファ・ジャパンの例
小型かつ軽量で耐久性も精度も高い波動歯車を制作しているのがテクファ・ジャパンです。大きさに対して伝達力が高いため、減速機自体の大きさを1/2~1/3に抑えられます。
精度やサイズなど5つの特徴的なポイントにマッチするギヤメーカーを紹介しています。
【選定の条件】Googleにて「ギヤ メーカー」「歯車 メーカー」で検索し、100位までに公式サイトが表示されたメーカーの中から
①ギヤ加工の対応範囲が広い(一部の種類に特化していない)、②国際的な品質マネジメント規格ISO9001を取得している、または、「日本歯車工業会」所属のメーカーから、各条件に適したメーカーから紹介しています。
(Google検索は2022年7月1日時点、①②は2022年7月調査時点)
※以下の根拠をもとに選出しています。
【高精度】…機械加工技能士「特級」保有者の数が最多、高性能な設備(ハイエンド/上位機種)の導入 【既存歯車の再現】…複製技術に強み、複製がプラン化されている
【標準歯車】…標準歯車の取扱い製品数が最多
【特大サイズ】…公表されている加工設備の対応サイズの中で最大 【極小サイズ】…商品化されている製品の中でモジュールが最小