歯車の品質は、騒音・振動や動力の伝達効率、ひいてはマシンの性能に大きく影響します。高品質な歯車を求める気持ちは誰しも同じですが、どうやって品質を見極めればいいのか、判断に困るという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
公式HPで「高品質」「高精度」「高い技術力」を謳っていても、基準がわからない、裏付けがあるのかわからない、と不安を覚えることもあるでしょう。そんな時に拠り所となるのが、認証取得の有無や、業界団体への加盟の有無です。具体的には、次の3点が挙げられます。
それでは、ひとつずつご説明します。
ISO9001は、品質マネジメントシステムに関する国際規格。業種や業態を問わない規格で、世界190カ国以上、100万以上の組織で利用されています(※)。
※参照元:日本品質保証機構公式サイト(https://www.jqa.jp/service_list/management/management_system/index.html)
ISO9001は、「一貫した製品・サービスの提供」と「顧客満足の向上」に主眼を置いた規格です。同規格の認証を取得するためには、企画・開発から製造はもちろん、アフターセールスや不具合対応に至るまで、品質を維持するための業務が標準化されなければいけません。そのため、ISO9001の認証を取得している企業は、「品質管理システムが適切に運用されており、信頼性の高い企業」と考える、根拠のひとつとなるのです。
また、ISO規格の認証は、一度取得すれば良いというものではなく、毎年審査を受け続ける必要があります。継続的に第三者機関のチェックを受け、業務改善が行われている証明になるため、メーカー選定に当たっては、こういった認証取得の有無をぜひ確認しておきましょう。
JIS Q9100は、航空宇宙・防衛産業分野に特化した品質マネジメントシステムの国際規格。航空宇宙産業や防衛関連の市場で、国際的な部品調達基準として採用されています。
同様のマネジメントシステム規格であるISO9001との違いは、ISO9001が業界や業種を問わないジェネラルな規格であるのに対して、JIS Q9100は航空宇宙産業や防衛分野に特化したセクター規格であるという点。製品の安全性や模造品防止といったリスクマネジメントや、設備・治具工具・ソフトウェアの管理、製造工程の検証といった項目が追加された、より厳しい規格となっています。
小さな瑕疵が大事故に繋がりかねない航空宇宙産業、国家事業である防衛分野の部品調達に、一般より厳しい基準が適用されるのは当然のことです。本規格の認証取得企業は、技術力だけでなく、リスクマネジメントやコンプライアンスの面でも、信頼性の高い体制を構築していると考えられます。
日本歯車工業会は、日本の歯車業界の技術振興や品質の維持・向上、国際競争力の強化、人材育成などを目的とした業界団体です。
日本歯車工業会の事業の柱は、以下の3本です。
歯車はさまざまな業種の製品に使用されており、その品質は製品のクオリティ・信頼性を左右するものです。日本歯車工業会は、日本の工業製品の品質向上と、国際競争力の強化を支えてきた団体のひとつといえるでしょう。メーカーを選定する際には、同工業会の会員企業であることを確認しておきましょう。
信頼のおけるギヤメーカーを見分けるポイントのひとつに、有資格者の在籍数が挙げられます。ギヤの加工機の自動化が進んでも、確かな目と技術を持つ技術者が不要になるわけではありません。専門性の高い技術者が在籍しているかどうかは、その会社の技術の高さだけでなく、人材育成に取り組んでいるかという姿勢も表しています。ここでは、歯車の加工において特に評価の高い資格について、ご説明します。
「機械加工技能士」は、切削・研削によって金属の形状を加工する技能を証明する国家資格。取得するためには、機械加工に関する技能試験と学科試験に合格する必要があります。
歯車加工に関連した作業項目の筆頭は、「ホブ盤作業」です。ほかにも、「数値制御ホブ盤作業」や「マシニングセンタ作業」などの作業があります。
ホブ盤作業の技能士資格には、1級と2級があります。実技試験の内容は、規定の時間内に指定されたモジュールのはすば歯車を製作するというもの。製作点数は1級が5個、2級は3個で、寸法精度やできばえ、作業態度や作業時間が評価されます。
合格率は、年度による変動はあるものの1級40〜50パーセント、2級50パーセント前後で、しっかりと準備をして試験に臨む必要があります。機械加工技能士の有資格者の在籍は、ギヤメーカーの技術力や信頼性を裏付けてくれる要素のひとつといえるでしょう。
参照元:【PDF】厚生労働省「令和元年度「技能検定」実施状況 」(https://www.mhlw.go.jp/content/11806001/000653258.pdf)
「特級機械加工技能士」は、技能検定の最上位となる国家資格で、「管理者または監督者が通常有すべき技能の程度」の技能を有することを、国として証明するものです。
学科試験は、①工程管理、②作業管理、③品質管理、④原価管理、⑤安全衛生管理及び環境の保全、⑥作業指導、⑦設備管理、⑧各職種に関する現場技術の8科目。実技試験では、①〜⑦の7科目が審査されます。
特級機械加工技能士は、合格率10パーセント程度の難関資格です。有資格者の在籍は、会社の信頼性の裏付けになるといえます。
参照元:厚生労働省「令和元年度「技能検定」実施状況」(https://www.mhlw.go.jp/content/11806001/000653258.pdf)
精度やサイズなど5つの特徴的なポイントにマッチするギヤメーカーを紹介しています。
【選定の条件】Googleにて「ギヤ メーカー」「歯車 メーカー」で検索し、100位までに公式サイトが表示されたメーカーの中から
①ギヤ加工の対応範囲が広い(一部の種類に特化していない)、②国際的な品質マネジメント規格ISO9001を取得している、または、「日本歯車工業会」所属のメーカーから、各条件に適したメーカーから紹介しています。
(Google検索は2022年7月1日時点、①②は2022年7月調査時点)
※以下の根拠をもとに選出しています。
【高精度】…機械加工技能士「特級」保有者の数が最多、高性能な設備(ハイエンド/上位機種)の導入 【既存歯車の再現】…複製技術に強み、複製がプラン化されている
【標準歯車】…標準歯車の取扱い製品数が最多
【特大サイズ】…公表されている加工設備の対応サイズの中で最大 【極小サイズ】…商品化されている製品の中でモジュールが最小