まがり歯かさ歯車 （スパイラルベベルギヤ）とは
まがり歯かさ歯車とは、円錐台形のベースに螺旋を描く歯が切られた歯車。スパイラルベベルギヤ（Spiral Bevel Gear）とも呼ばれます。はすばかさ歯車（ヘリカルベベルギヤ）と似ていますが、まがり歯かさ歯車の歯筋が曲線であるのに対し、はすばかさ歯車の歯筋は直線であるといった違いがあります。ねじれ角を持つという点は、両者共通です。
スパイラル、ヘリカル共に「螺旋」と訳されますが、スパイラルは中心点を持つ渦状、ヘリカルはコイル状と考えることができるでしょう。まがり歯かさ歯車とはすばかさ歯車ではかみ合い率が異なり、まがり歯かさ歯車の方が高くなります。
まがり歯かさ歯車は、回転運動の方向を変える交差軸歯車の一種です。
まがり歯かさ歯車（スパイラルベベルギヤ）の長所と短所
長所
まがり歯かさ歯車には、騒音や振動が少ない、強度が高い、摩耗しにくいといった長所があります。
まがり歯かさ歯車は、すぐばかさ歯車に比べて歯の噛み合い率が高くなります。同時に噛み合う歯が多く、連続的に滑らかに噛み合っていくことから、騒音や振動が少ないという大きなアドバンテージを持っています。
噛み合い率が高いということは、歯当たり面が大きく取れるということです。荷重が分散されるため、高い強度を持つ歯車になります。さらに、滑らかに噛み合っていくことで、歯面の摩擦が軽減されます。
短所
まがり歯かさ歯車には、加工が難しくコストが嵩みがちであることや、スラスト荷重が大きいといった短所があります。
まがり歯かさば歯車は、円錐形のベースから曲線の歯を切り出していくため、加工が難しくなります。他の歯車よりタクトタイムが長くなり、コストがかかる傾向にあります。
また、歯が曲がっていることで、スラスト荷重が大きくなります。軸に負荷がかかるため、スラスト荷重に対応した軸受を使う必要があります。
主な用途（対応している分野）
航空機、船舶、鉄道車両、工作機械
まがり歯かさ歯車（スパイラルベベルギヤ）の製品例
引用元:日本ギア工業公式サイト
（https://www.nippon-gear.jp/products/gear/height/）
日本ギア工業の例
高精度に仕上げられ、船舶や精密工作機械などの駆動部に使用されるまがり歯かさ歯車（スパイラルベベルギヤ）です。
引用元:オージック公式サイト
（https://www.ogic-gears.com/product/24/）
オージックの例
航空機用エンジンのアクセサリーギアボックスで使用されるスパイラルベベルギヤ。高い精度が求められるため、マスターギヤを0.001㎜単位で三次元計測し、加工機の調整を行なっています。
引用元:金子歯車工業公式サイト
（http://www.k-gear.co.jp/prod_bevel_gear.html）
金子歯車工業の例
独自に開発した歯切り手法によって、短納期・低コストで製造されたまがり歯かさ歯車（スパイラルベベルギヤ）。