セクターギヤは、トラックのステアリングギヤ機構などに用いられている歯車です。ここでは、セクターギヤの概要、長所・短所、製品例などを解説いたします。
円の一部分を活用して歯をカットした扇型の歯車です。当該部分以外に歯はありません。つまり、セクターギヤの外周は歯がある部分と歯がない部分で構成されます。以上の特徴を備えるため、一定の角度内で往復運動をさせたいケース、360度未満が必要なケースなどで用いられます。
代表的な用途として自動車のセクターがあげられます。セクターは、ボールナット式ステアリングギヤ機構のギヤボックスに使用される部品です。セクターギヤとセクターシャフトで構成されます。ボールナット式ステアリングギヤ機構は、ラック&ピニオン式にとってかわられましたが、トラックなどでは現在も用いられているステアリング機構です。
具体的な動きは、ステアリングホイールを操作すると、ウォームシャフトが回転して、ギヤボックス内のボールナットが移動します。すると、ボールナットの外側と噛み合うように配置されたセクターギヤが回転します。セクターギヤの主な役割は、ボールナットの往復運動を回転運動に変換することです。これにより、セクターシャフトを介してリンク機構へつながり自動車の進路を変えることができます。
ボールナット式ステアリングギヤ機構の特徴は、構造などの理由でいわゆる「遊び」ができることです。ラック&ピニオン式に比べてダイレクト感は劣りますが、ハンドルが軽い、路面からのショックを伝えにくいなどのメリットがあります。したがって、現在でもトラックやオフロード車などでは用いられています。
外周の一部分しか歯がないため、一定角度内で往復運動させたい場合や間欠運動させたい場合などに用いることができます。アイデア次第で、さまざまな用途に活用できる点は魅力です。また、構造上の特徴から製造コストや原材料を削減できる可能性もあります。
特殊な形状をしているため、汎用性はそれほど高くないといえるでしょう。目的などを踏まえて、計画的に利用する必要があります。知識がない場合は、導入にあたり専門家のサポートを必要とすることも考えられます。
引用元:EMIDS公式サイト
(https://ja.nc-net.or.jp/company/69704/product/detail/53526/)
アップルリンクの例
神奈川県川崎市で事業を展開するアップルリンク株式会社の製品事例です。セクターギヤとして歯切り加工するため、工程内の精度が製品精度になる点が特徴といえるでしょう。素材は、樹脂・鋼・真鍮(黄銅)、ロットは1~100個に対応しています。精度は0.1mm~1/100mmです。
引用元:ECHIGOYA公式サイト
(https://echigoya.militaryblog.jp/e1118339.html)
エチゴヤの例
C.A.T電動ガンシリーズ用のセクターギヤです。歯枚数は14枚、ギヤ比は「18:1」となっています。カットオフカムの位置は60段階で変更可能です。
精度やサイズなど5つの特徴的なポイントにマッチするギヤメーカーを紹介しています。
【選定の条件】Googleにて「ギヤ メーカー」「歯車 メーカー」で検索し、100位までに公式サイトが表示されたメーカーの中から
①ギヤ加工の対応範囲が広い(一部の種類に特化していない)、②国際的な品質マネジメント規格ISO9001を取得している、または、「日本歯車工業会」所属のメーカーから、各条件に適したメーカーから紹介しています。
(Google検索は2022年7月1日時点、①②は2022年7月調査時点)
※以下の根拠をもとに選出しています。
【高精度】…機械加工技能士「特級」保有者の数が最多、高性能な設備(ハイエンド/上位機種)の導入 【既存歯車の再現】…複製技術に強み、複製がプラン化されている
【標準歯車】…標準歯車の取扱い製品数が最多
【特大サイズ】…公表されている加工設備の対応サイズの中で最大 【極小サイズ】…商品化されている製品の中でモジュールが最小