欠歯歯車は、自動車分野などで主に用いられている歯車です。等速回転運動を間欠運動へ変換するなどユニークな役割を期待できます。ここでは、欠歯歯車の概要と長所・短所、製品事例、欠場歯車が主に用いられている分野などを紹介しています。
欠歯歯車は、部分的に歯を取り除いた歯車です。歯の一部分が欠けた歯車と表現することもできるでしょう。主な特徴は、等速回転運動を間欠運動に変換できることです。欠歯歯車を用いれば、原動歯車と従動歯車の歯が噛み合ったときだけ回転を伝えられます。したがって、動力伝達とともに回転を伝えるタイミングをコントロールできます。
欠歯歯車とよく似た歯車としてあげられるのが、間欠歯車です。間欠歯車は、回転を断続的に伝える歯車を指します。欠歯歯車との主な違いは、停止している従動歯車が回らないことです。欠歯歯車は、停止している従動歯車が慣性などで回ります。
欠歯歯車にはどのような長所と短所があるのでしょうか。
欠歯歯車の長所は、等速回転運動を周期的な始動と停止で構成される間欠運動へ変換できることです。欠歯歯車は、1回転する間に、複数回、間欠的に、動力を伝えられます。また、同力を伝えるタイミングも調整できます。
気を付けたいポイントは、始動と停止のポイントが複数回にわかれることです。各ポイントでは、摩擦抵抗が大きくなるうえ始動時と停止時に歯車へ衝撃が加わります。したがって、欠歯歯車は高速回転を伴う機構にあまり向いていない恐れがあります。
歯車の噛み合いがずれやすい点にも、注意が必要です。噛み合いがずれないように、フックを組み込むなど、何かしらの対策を必要とするケースが多いでしょう。等速回転運動を間欠運動へ変換できる点は魅力ですが、トラブルが起きないように一定の配慮をしなければなりません。
引用元:ギヤプラス公式サイト
(https://gearplas.com/products/欠歯ヘリカルギヤの量産化/)
ギヤプラスの例
プラスチック歯車の開発・生産を手掛けるギヤプラスの欠歯歯車(欠歯ヘリカルギヤ)です。材質はPOM、サイズはφ14となっています。試作品の提案から量産まで行っています。用途は自動車業界です。量産にあたっては、金型からの取り出しが課題になりました。ギヤプラスは、この課題を対処するため試作段階から製品形状の提案などを行っています。このような対応が必要になるケースもあるため、ギヤメーカーとよく相談してから方針を決定することが大切です。
引用元:ナゴヤギア公式サイト
(https://ja.nc-net.or.jp/company/46004/product/detail/41667/
)
ナゴヤギアの例
静穏性に優れた精密歯車の製造を得意とするナゴヤギアの製品(試作の短納期品)です。想定している業界は自動車・重電・工作機械となっています。材質はS45C、外径はφ255、焼入れは高周波、仕上げ方法は歯研、歯車精度はJIS1級です。仕様は、素材が鉄・鋼・ステンレス、ロットが1~100個、精度が1/100~1/1,000mmとなっています。
精度やサイズなど5つの特徴的なポイントにマッチするギヤメーカーを紹介しています。
【選定の条件】Googleにて「ギヤ メーカー」「歯車 メーカー」で検索し、100位までに公式サイトが表示されたメーカーの中から
①ギヤ加工の対応範囲が広い(一部の種類に特化していない)、②国際的な品質マネジメント規格ISO9001を取得している、または、「日本歯車工業会」所属のメーカーから、各条件に適したメーカーから紹介しています。
(Google検索は2022年7月1日時点、①②は2022年7月調査時点)
※以下の根拠をもとに選出しています。
【高精度】…機械加工技能士「特級」保有者の数が最多、高性能な設備(ハイエンド/上位機種)の導入 【既存歯車の再現】…複製技術に強み、複製がプラン化されている
【標準歯車】…標準歯車の取扱い製品数が最多
【特大サイズ】…公表されている加工設備の対応サイズの中で最大 【極小サイズ】…商品化されている製品の中でモジュールが最小